COLUMNコラム

カウンセリングルーム ~LQP事務局に寄せられるコメントから~

2017.06.24

第7回「コンプライアンスは誰のため?」

「コンプライアンス」という言葉は今や殆どの社会人が知るものですが、遡れば、ここ十数年で急速に拡がってきたように思います。
そんな中「コンプライアンス研修」を開催すると、「またか」という反応をされる方も結構いらっしゃるのですが、「何故法を守らないといけないのでしょう?」と問われると、言葉に詰まる方が意外に多いように感じます。

そういう私も恥ずかしながら、法についてきちんと学んだことは無いのですが、弊社がコンプライアンスについてお伝えする時は、法律やルールは少なくとも、「人が幸せになるためにある」のだと、お伝えしています。(不幸にならないため、とも言い換えられますが)

例えば、交通ルールは「事故を防ぐため」、すなわち人の命を守るためにありますし、
就業規則は「労使トラブルを防ぐ」等の目的もありますが、それ以前に「会社の目的を達成するため、思いを実現するため」にあると考えます。

当たり前すぎて「きれいごと」のようにも聞こえるかもしれませんが、この根幹は意外と忘れられがちであると、研修があるたびに感じるのです。

例えば、今やその言葉を聞かない日は無い「ハラスメント」について研修をしたとき。

ハラスメントの実例をお伝えすると、
「こんなこともハラスメントになると思いませんでした!!
もし訴えられてしまうと責任問題になるので(会社に迷惑かけるので)気を付けます」
などと、危機感を持っていただくのは(研修の目的でもあるので)大いに結構なのですが、
何故「ハラスメント」はいけないのか? という根本的な質問をしたときに、このように、「組織のリスク面」にまず目を向ける人が非常に増えたように感じます。
(特に責任感の現れからか、管理職層に非常に多く見られます)

そもそも「ハラスメント(嫌がらせ)」を防止する目的は、人と人が、気持ちよく働くために他ならないと考えます。言われてみれば当たり前ですが、利益を追う会社組織や対応に追われる現場に於いては、相手が「嫌がっている」「傷つくかもしれない」といったことに対する配慮がだんだん欠けてしまい、結果的にそれが相手のモチベーションを下げ、コミュニケーション不全に陥り、組織の生産性をも下げてしまうことがあります。

わざわざ「ハラスメント」という言葉を登場させたのは、そのことを再認識してもらうためではないでしょうか。

先に述べた「これもハラスメントなんですか!?」という良く見る光景は、私はとても重要なプロセスだと思います。様々な人が様々な価値観で働く今、自分が思い至らなかった、他人の痛みに気が付く機会はそうありません。

「ここからがハラスメント」という線引きはつけにくいものです。
ただ、事例を知ることで、他人が感じる「いやだ」「辛い」「苦しい」といった感情を少しでも理解しようとすることや、自分の物差し以外で物事を考えてみる機会が、ハラスメント防止だけではなく、コミュニケーションが取れた生産性の高い組織を作ることに繋がると考えます。

ちょっとしたコミュニケーションの間違いで相手を傷つけ、モチベーションを落としたり、信頼関係が崩れてしまったりすることがいかに勿体ないか。
想像する機会を、ぜひ年に数回は設けてみてはいかがでしょうか。

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